現在、以下の研究を推進しています。
a) 超高性能計算環境向け精度保証付き数値計算法の開発
超高性能計算環境向けに、連立一次方程式、固有値問題、特異値問題において、超高性能計算環境向けの高速かつ高精度な反復改良アルゴリズム及び精度保証アルゴリズムを開発しています。 このような計算は科学技術計算の基礎であるため、様々なシミュレーションサイエンスへ適用可能なものであり、本研究成果の応用範囲は極めて広く、科学技術計算の品質向上に貢献するものです。
b) アプリケーションソフトウェアの高精度化
精度保証や高精度計算が重要となるアプリケーションについて調査しています。実アプリケーションにおいて数学的な厳密さを持った計算結果を得ることは、実用上重要な問題に対してコンピュータによる計算結果の信頼性を大幅に向上させるものであるため、社会的及び科学的に非常に有意義なものです。
c) ポスト「京」に向けた精度保証付き数値計算アルゴリズムの開発及び実装
超高性能計算環境向けに、精度保証アルゴリズムを開発及び実装し、その性能評価を行います。 これは、大規模な実アプリケーションに対する精度保証の適用可能性を示すために不可欠です。
d) ポスト「京」に向けた超高性能ベンチマークの整備及び高性能実装技法の開発
線形問題の高精度な精度保証付き数値計算法について、高性能実装技法の開発及び高性能計算環境において実装を行い、精度保証ライブラリ及び超高性能ベンチマークを整備します。 これは、研究成果の公開のために必須です。
e) 超高性能計算環境向け高精度数値線形代数アルゴリズムの開発
数値線形代数における高精度演算のための基盤として、基本行列計算の高精度アルゴリズムの開発を行います。 行列計算は数値線形代数における精度保証の主要部分であるため、その高速化は直接的に精度保証に必要な計算時間の削減につながるものです。